万里の道も一歩から

エンタメもぐもぐ日記

101日目:月組公演『ブエノスアイレスの風』

今日も楽しく!!!月組公演!!!!!!!


いやーーー今日の公演が日本青年館側のラストでした。お次は梅芸です。しばらく間が開くんですが、一区切り前の締め括りとしてとても素敵な観劇ができた……良かった……良かったです……

以下個人の感想だよ!!!


ブエノスアイレスの風、ほんとに良くできた脚本だなと思うし、相当な勇気がないと書けない話なんじゃないかなとも思います。

・1,2幕を通してストーリーがほとんど前進しない。何なら人間が1人死んでるから後進してると言っても過言ではない。

・主人公が作品内で生き方、考え方を変化させない。何なら主人公の信念については1幕序盤の時点で全部語ってる。

・主人公ニコラスと相反する生き方を選んだリカルド、2人の道がなぜ分かれてしまったのかというのはニコラスが語った「理由を考えながら行動したか否か」に尽きる。
(今の時代は戦うに値する理由がないと理解しているニコラス、ゲリラ軍として戦った時の熱気を忘れらずもう一度と奮起するリカルド)


ストーリーが進まない、主人公が変化しない、そうだね全部説明してもらったもんねと納得のいく分かれ道……しかも作品の開幕とラストを彩るのは同じ楽曲ですからね。本当に変わってない。すごい。
そんなひたすらに""不変""を描いた演目だからこそ、作品の根本にある「生きていればいつか貴方に会える」というテーマがより際立っているように感じます。

なおかつ、変化の少ない作品だけど、個人的にはテーマの意味合い自体が前向きだから不思議と後味が良いです。どこか爽やかな風が吹き抜けていくような感覚すらある。
作品の登場人物たちが今後どうなっていくかわからない不透明感はあるけど、そこすらも観客の余韻に委ねられているようなあたたかさがあるんだよな……「読後感」に当たる演劇バージョンの言葉はあるのかしら、劇後感が良いです。


いやもうね、すごいよね、ストーリーだけ見ると変化がないのにじんわりと(すんごく良質なもん観たわ……)と思わせるの魔法か何かか?と思うよ。

なんというか、勝敗の結果がわかっている将棋をパチンパチンと静かに一手ずつ打っていくような演目だと思います。なのに退屈じゃないし、駒が進むにつれて脳みそがどんどん活性化していくかんじ。すごい。
別にこちらが「退屈な演目の楽しみ方を何とかして見つけ出した」とかではなく、計算されて狙ってこの演目が成り立ってるのが本当にすごいし勇気がないとできないことだと思うし、何より演者の演技力がないとその空気感すら成り立たないから信頼関係あってこそだなと思います。そんな演目の主演にご贔屓を選んでもらったということも嬉しいね……そうだね……


別に物語の最初と最後が同じ地点でも、なんなら人が死んでるから半歩下がったところに帰ってきても良いんだな。それでも伝えたいことはちゃんと伝わるし、観劇後の後味も悪くないんだな……と勉強になりました。そういうストーリーの描き方もあるんだとまた1つ賢くなった。単純に観劇偏差値が上がりました。うむうむ。

梅芸で観る時にどんなふうにまた月組が進化してるかも楽しみだし、そこに食らいついていける自分でありたいと願います。がんばるぞ!おー!


おわり